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介護にまつわるエトセトラ

残されたメモ

73回目の誕生日を病院のベッドで迎えられた利用者様。

奥様、看護師、私、と女性ばかりに囲まれてまんざらではない様子でした。

誕生日4日前に緊急入院となり、それまで入院をずっと拒否されておりましたが、

今回は絶対に入院が必要と言うことになり、ご本人様も入院時には

諦めモードに入っていらっしゃいました。

入院2日目。

まだお元気な姿で、呼吸はお苦しそうですが、

声を出していつものように冗談を仰られていました。

「退院したらデイサービスに行く」と仰って下さっていました。

入院10日目。

「自分はなかなかしぶとい性格やったけど、

今回はちょっとあかん・・・。」

そう仰られました。

その翌日奥様から連絡が入りご自宅へ伺うと

初めて奥様が涙する姿を見ました。

担当医より、最期の準備をするよう話があったとのこと。

覚悟はしていましたが、

辛い辛い現実でした。

その日すでに声も出ず、目も閉じたまま

息苦しそうな呼吸音が病室に聞こえるだけでした。

それでも、話しかけて、利用者様に問いかけると

まぶたが動いて反応が見られます。

「また来いよ。」と笑って仰ってくださったのが、

私が聞いた最期の言葉でした。

73歳と10日目の日。

利用者様と永遠のお別れになりました。

入院中、声が出なくなってから本人様と奥様との会話に使われていた何枚ものメモには、

奥様への感謝

私たち、愛101への感謝

ご家族様への感謝

が記されていました。

乗降介助で楽しく病院へ連れて行ってもらう。

というのがご本人様の退院後の楽しみだったそうです。

私たちも、いつもよく笑わせて頂き、

体調が悪くても声が出にくくても、話をして明るく

振舞って下さっていました。

たった何分間だけの乗降介助で、私たちと会うことを

そんなに楽しみにしてくださっていたことに、本当に嬉しく思います。

また会いにきますね。

と最期のお別れをしました。

奥様が笑顔で、

「今までありがとうな。

お父さんも喜んでると思うわ。」

最後にそうおっしゃって下さいました。

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