以前記事に書いた、「野心のすすめ」の感想です。
林真理子さんにしては少しぬるめですが面白かったですよ!
野心と聞いて悪いイメージを思い浮かべる人もいるでしょうが、ここでの野心とは
「大きな飛躍を望んで、新しいことに大胆に取り組もうとする気持ち」
クラーク博士の言葉「少年よ、大志をいだけ」の大志の意味で、健全で真っ当な野心を提唱したいと、
この本を書かれたそうです。
そんな本の中には
~やってしまったことの後悔は日々小さくなるが、やらなかったことの後悔は日々大きくなる
野心が車の「前輪」だとすると努力は「後輪」前輪と後輪のどちらかだけでは車は進んで行けない~
などと魅力的な言葉も多かったのですが、私が好きだったのはお母さんのお話でした。
~私は東京に出てくる時、母からこう言われました。
「お金がないのと忙しさで、あなたには十分な躾ができなかった。何も与えられなかった。ただひとつ教えておくけど、自分は何も持っていないということは知っておきなさい。自分の育った家が普通だと思ったら、世間に出て恥をかく。おまえが育った家は、がさつで、みっともない、特別な家なんだ。マナーも何もなってないのだから。この先、何かがあれば自分の力で勉強してやっていくように。」~
中略
~「無知の知」とはソクラテスの有名な教えですが、自分が何も知らないということを知っている人間は、自分が無知であることを自覚していない人間よりも、もっといろいろなことを知りたい、学ばなければならない、と思える点で勝っているのです。~
また、同じくらいの年月を歩んできた人が、自分の数倍の教養を持っていることを知ったときの驚きを忘れる事はできませんとあり、三十を過ぎて「無知の知」ということに目覚められたそうです。
先日も何かのテレビで、
「私がある程度自由にお金を使えるようになって一番嬉しいこと。それは美味しい料理を食べたり、ブランド物を買うことではなく知的好奇心にお金を使えるようになった事」
だと仰っていました。
彼女の小説やエッセイを読んでいて思いますが、かなり知的好奇心にお金を使われたのが分かります(笑)
本当に色々な分野の事をご存知で、読んでいて勉強になりますし、随分ご苦労されたのだろうなと思います。
林真理子さんのお母さんは結婚前、(今は90代半ばとの事なので70年程まえですね)キャリアウーマンだったそうです。
結婚し大変なご苦労をされて小さな本屋さんを営み生活を支えられたそうです。
この言葉にはお母さんの様々な想いのなかに、精一杯の愛情が詰まっている感じがしてじーんとしました。
抜粋はほんの一部ですが他にもなるほど~と思える言葉も沢山あって面白かったです。
野心も悪くないなと素直に思える1冊ですよ!